令和7年度 人事・給与改定について(公示)
令和7年度 人事・給与改定について(情報公開)
先般、病院(*)の経営状況が危機的で、各病院団体から国に対し、次期診療報酬改定を待たず即時改定(期中改定)の要望が行われました。
病院という名の付く病床をもつ医療機関の約6-7割が赤字、中でも市民病院などの自治体病院(≒公立病院)のほとんどが赤字累積に陥っており、同時に、治療に必要不可欠な医療用医薬品の供給が非常に不安定で入手困難・不能な事態も常態化しています。
一方、「介護」は医療よりさらに先を走っており、すでに過去最高の倒産件数を更新しております。
(*病院:入院病床数=ベッド数20床以上の医療施設)
給与から引かれる社会保険料率(=健康保険料・厚生年金保険料や介護保険料)は上昇の一途です。
また、給与所得者が(税引前)給与総額から引かれる額と「同額」の社会保険料を会社は国に納めており、医療法人においても同様です。
従いまして、従業員1人あたりの本当の社会保険料は給与明細では分かりませんが、本人負担分と事業者負担分を合計するとかなりの金額となります。
(また、通勤手当は適正範囲内であれば所得税はかかりませんが、支給金額によらず○○手当という項目のほとんどが社会保険料の算定に含まれますので、通勤手当と言えども社会保険料対象となっています)
そして、社会保険料は直接的に医療・福祉の経営に大きく影響します。
そもそも、税収(歳入)や社会保険料率が過去最高水準である中、なぜ医療・介護ともに極めて厳しい状況であるのか、これについてはさまざまな論調があります。
米の異常高騰はじめ昨今の著しい物価上昇の中、他業種では値上げや賃金アップが行われておりますが、(美容外科などの自由診療=自費診療ではない)医療・介護は常に国家予算をもとに定められる「公定価格」(診療報酬・介護報酬)であるため値上げは不可能で、継続するこれら報酬の実質的削減が医療・介護の弱体化を生み衰退をたどる一因と考えられます。
現状、病院のみならず、街中の医院・クリニックの経営も非常に困窮する事態が容易に想定されます。
この度、医療法人大樹では、経営判断として、①令和6年末に法人に籍があり、②定期考課査定の対象の職員に対し、公正中立に職能と勤務態様を評価の上(上昇の幅には個人差がありますが)、本給(=基本給)・時給のプラス改定を実施いたします。
あわせて、定年後再雇用者の本給(または時給)については、(年次改定に伴う増額は実施しても) 段階的減額は行いません。むしろ、これまでの貴重なご経験を活かせていただければ幸いです。
業態変更が困難な業界ではありますが、医療法人大樹として事態を正確に把握しつつ確実に諸般の改善策に基づきこれを実行することを通じ、結果として、「命」の質の維持・向上を通じ長寿社会へ貢献という法人使命を全うして参ります。
令和7年5月10日
医療法人大樹
理事長 後藤 貴吉
*本ホームページ内での表現など含め、全てにおいて政治的な意図などはありません